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岩手県(わんこそば県)にいると言われる妖怪の一覧

  • アクボウズ

家にいる怪。九くの戸へ郡では一膳飯を食べるとボウズ(一般に怪物のこと)に会うとか、湯に二回入るとボウズに会うという。また裸で便所に入るとボウズにつきあたるともいう。

  • アマンジャク

家にいる怪。天邪鬼。炉の灰の中にいる怪という。

  • アンモ

家にくる怪。北上山系。姿を見た者はいないが、正月十五日の月夜の晩に太平洋から飛んでくる。イロリにばかり当たっている怠けワラシの脛すねには、紫色の火ひ斑はんがついているので、その皮を?ぎに来る。弱いワラシを助けてくれ、病気で寝ているワラシはアンモを拝むと治るという。

  • イタチノカイ

動物の怪。鼬の怪。紫し波わ郡徳田村の高伝寺の本堂に毎夜怪火が出、その影から恐ろしい大入道が現れた。小雪の朝、本堂から抜け出した足跡を追うと隣家の木小屋に入っていった。薪を取り除くと鼬いたちの巣があり、巣の中の古鼬をとらえて殺したところ、怪火も大入道も出なくなった。

  • オクナイサマ

家にいる怪。上かみ閉へ伊い郡土淵村。十四、五歳の子供姿で、近所が火事のとき火を消してまわったという(佐々木喜善。

  • カゴショイ

道の怪。九戸郡で小児たちが恐れる怪物。官軍勢≠フ転訛だという俗解がある。

  • カッパ

水の怪。河童。真っ赤な顔で、足跡は猿に似ており、長さ三寸、親指が離れている。松崎村で二代にわたり河童の子を産んだ家があり、子は醜怪な形だった。栗橋村橋野の大家には、駒引きに失敗した河童の詫び証文がある。紫波郡煙けむ山やま村赤林でも河童の子を産んだ女がいた。女は産うぶ屋やに誰も入れなかったが、中からクシャクシャと小声の話が聞こえたという。宮古に伝わる証文は筆でぬりたくってあるだけで、とても文字のようには見えない。栗橋村栗林には、駒引きに失敗した河童が左の腕を?み切って指で書いた詫び証文がある。この河童は、川から上がって許された家に入りザシキワラシになった。主家思いであったという。詫び証文は釜石にもある。下閉伊郡田野畑村の証文には「又千、又千」とあった。紫むらさき尻じりを好むともいう。上閉伊郡宮守村では、駒引きに失敗した河童が喉のはれをひかせる薬の調合を教えた。上閉伊郡大槌村赤浜でも河童はザシキワラシであるように信じている。嬰えい児じのようで赤く、ジイジイジイと鳴く。相撲を好み、子供と相撲をとった。陸りく前ぜん高たか田た市横田では河童が直接骨接ぎをするといい伝える。

  • カブキレワラシ

木の怪。土淵村。マダの木に住み、時に童形になって座敷に忍び込み、家の娘に悪戯をする。また胡桃くるみの木の三又で遊ぶ赤い顔がこれだという。

  • カラコワラシ

家にいる怪。胆い沢さわ郡永岡村。夜の子ねの刻こくになると、座敷の床の間から黒い半衣物を着て現れ、杓ひしやくを持って水をくだされといった。杓の底を抜いて与えると、グズグズしていたが、しばらくして消えた。底を抜かないと水で悪戯するという。ザシキワラシの一種。

  • カワタロウ

水の怪。川太郎。下太田村。日ごろ子供と遊んでいた。親には決して語るなと戒めていたが、ある子が禁をやぶり、村の若者が鎌を持ってさんざんに追い回した。翌朝、川太郎は子供らに、もう一度非道をすれば北上川はじめ処々の川から、仲間を数百集めて報復するといった。一説にはこの家の姫に夜な夜な通ったともいう。

  • クサイ

動物の怪。狸の怪。人を化かして魚やお菓子を取る。青森県のクサイと同じ。

  • クラボッコ

家にいる怪。蔵小僧。上閉伊郡遠野地方。村の旧家にいる。糸車の音をさせたり、赤い塗り桶を提げているという。

  • クラワラシ

家にいる怪。盛岡市。赤い小袖を着た美しい子供。時には土蔵の中で踊りを踊っている。

  • コメツキワラシ

家にいる怪。米搗き童子。江え刺さし郡稲瀬村倉沢。夜中に石臼で米を搗つき、箕みで塵ちりを払うような音をさせる。

  • ザシキコゾウ

家にいる怪。座敷小僧。東北地方の旧家に住むという家の神。たいていは小児の形で、ザシキワラシに似る。

  • ザシキバッコ

家にいる怪。座敷婆子。栗橋村砂子畑。坊主頭で丸顔の小さな老婆で、低い声でけたけたと笑ったという。ザシキボッコのようなもの。

  • ザシキボッコ

家にくる怪。座敷童子。盛岡地方でザシキワラシのこと。おおよそ五、六歳くらいの皿子頭の童子。ムジナの化けたものともいう。

  • ザシキワラシ

家にいる怪。座敷童子。童女だともいう。布団を渡り、頭にまたがる。笛太鼓で囃はやしながら来る。枕返しをする。赤い友禅を着た十七、八歳の娘であるという。赤い頭ず巾きんを被った赤顔で、足音は三、四歳くらいの子供のもの。神壇の前に掛けてあった鐘を家人の留守中ガンガン叩いた。夜半、懐ふところに入ってくすぐり、たまらず起きて襟を合わせると、今度は袖口から手をいれてくすぐった。運動場に見知らぬ子供が一人おり、体操の時などどうしても一つ余計な番号が出た。尋常小学校一年生にしか見えなかった。機はた織る音をさせた。青笹村では糸車を回したという。某家の家運が衰えたとき、オウイオウイと声をたてて泣きながらその家を出た。土蔵においた食器類をいつの間にか本屋の棚の上に運び、夜食の時など上からガラガラと投下した。れが仏壇の香炉箱の灰の上に小さな足跡をつけると、この家に必ず死人がでた。ザシキワラシのなかで最も色白く綺麗なものをチョウピラコという。土蔵の中で終夜、喧嘩でもしているような荒びた音がして、翌朝、極めて美しい一人の子供が死んでいた。三、四歳くらいで顔が透き通るように白かった。隣家のザシキワラシと喧嘩して殺されたとか、ザシキワラシの夫婦の喧嘩だとかいった。

  • サルノフッタチ

動物の怪。猿の経立。人によく似る。女色を好み里の婦人を盗み去ることが多い。松まつ脂やにを毛に塗り砂をその上につけているので、毛皮は鎧よろいのごとく鉄砲の弾も通らない。経ふつ立たちとは年経て霊力を身につけたものをいう。雌鶏の経立が卵を取られた怨みにその家の子供を殺してしまったという。

  • サンコギツネ

動物の怪。三子狐。水鏡で体をなで、木の葉や草花で身を飾っていた。しかし途中で人に声をかけられ、うっかりついていってしまい、杯に映った自分の顔を見て逃げだしたという。

  • ショウジョウ

動物の怪。猩々。人面獣身で人語を解し酒色を愛すという。ショウジョウを見ようと浜辺の砂中に酒樽を埋めておいたところ、海から出て来て酒を飲み、酔っぱらって酒樽に落ち込んだ。人が蓋ふたをそっとずらして中を見たとたん、飛び出して海に逃げたという。

  • タヌキノカイ

動物の怪。化け狸。夜中にお産だといって医者を呼びにきた。お礼は木の葉の金だったという。山で人を騙して道を間違えさせたり、開墾の小屋に忍び込んで、子供を動けなくしたうえで油揚げや魚を取ったという。婚礼の席に大家の旦那に化けて御馳走を食いちらしたが、犬に追われて正体を現したという話もある。

  • チョーメンコ

山の怪。和わ賀が川がつくる深い渓谷に住む。姿形は不明だが、夕暮れ時、遊びほうけているワラシたちがいると必ず出てくる。

  • テング

山の怪。天狗。早はや池ち峯ね山。木の実ばかり食っていたが、穀物を食いたくなったといって、遠野の万吉という湯治場で会った男を尋ねてきた。一日に一羽、鳥を捕らえて焼いて食ったという。

  • テングナメシ

遠野地方でいう「天狗だおし」のこと。木を伐きる音や木の倒れる音がするが、次の朝、行ってみても一本の木も倒れていない。

  • ナモウレイ

海の怪。九戸郡宇部村小袖。時し化けのときなど、黒い船が現れ、エナガ(柄杓)を貸せということがあるが、決してこちらから口をきいてはならないという。

  • ニイギョ

海の怪。下閉伊郡普ふ代だい村黒崎。海底にいるという小童。三歳くらいの子供の形をしており、毛の生えた蓑みのを着たような恰好をしている。これを避けるため、潜水するときは舷ふなばたを叩いて入るという。

  • ノタバリコ

家にいる怪。江刺郡稲瀬村倉沢。夜半に、内土間から茶の間あたりを這はって歩くという怪。

  • ノリコシ

道の怪。遠野地方。影法師のようなもので、最初は小さい坊主頭で現れるが、はっきりしないのでよく見ようとすると、そのたびにメキメキと大きくなる。屋根を乗り越えて蔭の方へ消えていったともいい、袖叩きをしながら追いかけてきたという話もある。ノリコシに会ったときは、頭から下へ下へと見下ろしていけばよい。

  • バケハキモノ

器物の怪。化け履物。履物をとても粗末にする家に出た。「カラリン、コロリン、カンコロリン まなぐ(目)三ツに歯二ん枚」と歌いながら、粗末に扱った履物を投げ捨てておいた物置のすみに入っていったという。

  • ハタラキワラシ

家にいる怪。下閉伊郡豊とよ間ま根ね村。タッコノキと呼ばれる家にいる。家人の留守のときには馬に飼かい葉ばをやったり、雨が降ってくると干物の筵むしろを畳んで縁側に上げておいてくれるという。

  • フチサル

水の怪。淵猿か。土淵村。河童の異名らしい。岩の上で遊んでいたという。

  • ヘビノカイ

動物の怪。蛇。黄色の粉のようなものを出して人を眠らせる。人の体の上に乗ったが、蛇とさとられて逃げたという。青大将だった。

  • ホウドラ

動物の怪。九戸郡で獺かわうそのことをいう)。

  • ボコ

家にいる怪。炉の灰を掘ると中から出てくる。

  • ホソデノカイ

家にいる怪。細手の怪。ザシキワラシに類した怪。蔓つるのように細い怪異な手で細手長手ともいう。奥座敷に泊まった人が神仏の祀ってある次の部屋の襖ふすまの隙間から招かれたが、間もなく津波で家や妻子を失った。長押なげしのところから三、四歳の子供の手くらいの細く赤い手が一本垂れ下っていたともいう。吉凶禍福につれて人の家に出たが、どちらかというと凶事の前兆である。

  • マヨイガ

山の怪。迷い家。遠野地方で山の中にあるという不思議な家。この家に行き当った人は必ず家の中の什じゆう器き、家畜などなんでも持ってこなければいけない。それはその人に授けるために、その家を見せたのだからだという。

  • メットゥチ

水の怪。九戸郡で河童のこと。

  • モウジャブネ

海の怪。亡者船。九戸郡では盆には海に亡者船が出るといい、漁船は日が暮れないうちに帰る。もし出会ったときは鬼の豆を撒まくと消えるという。盆でないときも出るときがあるが、そのときは淦あか取りを貸せというから、底を抜いて貸すものだという。

  • ヤズクサエ

動物の怪。クサエは狸のこと。下閉伊郡普代村大田名部の背後のさいの神≠ニいう峠にこれがいて、本当に騙されると死ぬといって恐れられた。しかし、これを飼っていた家もあるといい、ついてきたときには食べ物をやると離れるという。

  • ヤマオンナ

山の怪。山女。栃内村和野の猟師が、背が高く髪がそれよりも長い女を鉄砲で撃った。のちの証拠にと髪を切り取って下山したが、途中ひどい眠気に襲われた。夢うつつに丈の高い男が現れて懐中からその髪を取り去った。

  • ヤマンバ

山の怪。山姥。狼のようだがもっと口が裂けている。牛を取ったりしてあまり悪さをするので山伏にお祈りしてもらったら出なくなった。また、ケガジ(飢饉)が吹いてくると、童子の歌声に答えて、里のアッパ(母)のチッチが膨らむようにと、チッチの木を担いで山から降りて、里の真ん中に立てて踊るという。

  • ユキオナゴ

雪の怪。西山の奥で木き樵こり十人ほどで小屋掛けして働いていると、夜中にやって来た。白い着物を着て、雪のように白い顔でえごえごと入り口の薦こもを上げて笑いかける。すると、男たちは、吸い込まれるように、その後について出ていってしまう。明け方、男は腑ふ抜ぬけになって帰ってくる。ユキオナゴと契った男は一生精を失うという。また南部藩の鷹待場に出たヤマンバは雷の霹へき靂れきするような風音をさせて現れた。背七、八丈、髪は雪のようで腰のあたりまで垂れており、両眼大いに輝いていた。切りつけると叫び声をあげて逃げたが、血は黄色、葦あし毛げ馬のような毛が一面に散っていたという。

  • ユキオンナ

雪の怪。雪女。遠野地方では小正月の一月十五日、または谷の満月の夜には雪女が外に出て遊ぶという。その雪女は子供をたくさん連れてくるという。だから冬の満月の夜に限って「雪女が出るから早く家に帰れ」という(柳田國男。